王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
[! ほう]

 ベリル以外が身を乗り出した。

「おそらくですが、性別が無いのではないかと」

「性別が……無い?」

 バジルとヴァラオムは顔を見合わせる。

「見た目は男じゃないか」
「ええ、だから生物学上」
[ああ、なるほど。そういう意味でね]

「でもよ、それと男に好かれるのと関係あるのか?」

 バジルが首をかしげた。グレードはバジルに呆れた目を向ける。

「裏を返せば、両性でもあり中性でもあるって事です」

 それにヴァラオムはポンと手を叩く。

[おお、そういう事か! 彼の持つ独特の何かが女性でもあるという事だな]

「おそらく、そういう事ではないかと」
「解るような解らないような……」
「人の体で議論するな」

 そんな事どっちでもいいベリルは眉をひそめた。

 一同はベリルを見てバジルがすぐ、

「じゃあよ、男としての機能はどうなんだ?」

「それはオレには解りませんよ……」
[本人に聞く他あるまい]
「なんの話だおい……」

「いや、しかしズバッと質問もしにくいな」

[いっそのこと、今確かめるというのはどうだろう?]

「そこまではやり過ぎだと思いますが」
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