王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「……何か、理由があったのではないか?」

 ベリルの言葉に、レインの体が強ばる。一度、ベリルに目を向けてすぐに顔をそむけた。

「参加したのは、あそこから出るためだ。僕の両親を封印して、僕を縛り付けようとした奴らなんかの処には戻らない」

「しかし……」
「どうせ……!」

 言いかけたベリルの言葉を切った。

「どうせ、父さんも母さんも……生きちゃいない」

 それでも、あそこにいたのは……やはり未練だったのだろう。少しでも希望が欲しかったのかもしれない。

「お前と一緒だよ! 僕は1人だ。だったら、僕の自由にしたっていいだろ!?」

 立ち上がりベリルを見上げ、ぶつけるように声を張り上げた。

「……」

 彼は、そんなレインを静かに見つめると、

「それは構わんが、人の家に住むというのはどうなのだ?」

「……」

 問題を別の方向に向けられ、レインは当惑した。
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