王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「住むなら綺麗にしろ」
「……うるさいな」

 渋々、掃除を手伝うレイン。彼の性格からして、誰も寄せ付けなかったのだろう。とは理解出来る。

 ベリルに言い寄っている女性の何人かは、おそらく彼に気に入られるためにレインの世話をしようとしたかもしれない。

「! ああ、そうか」
「なんだよ?」

 突然、何かひらめいたようにつぶやいたベリルにレインは目を向けた。

「お前が居るといいかもしれんな」
「……その結論の説明は無しか」

「相手を持つ気は無いのでな。むしろいきなり子持ちの方がインパクトが……」

「そんなくだらない理由で僕を利用するな」

「私にとっては深刻なのだ。ジジイがうるさい」

「ジジイって、長老の事か」
「戻る度に見合い話を持ってくる」

「ベリル! おかえりなさいっ」
「おかえりなさい!」
「ベリル!」

 3人の女性が勢いよく家に入ってきた。
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