王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 剣を右肩に乗せて立っているベリルに笑顔で歩み寄るセシエル。

「随分、お前に懐いてるな」

 レインをあごで示す。それにベリルは苦笑いを返した。

「さあ、どうだかな」
[思慕の念なら良いのだが……]

 さりげなく隣にいたヴァラオムが思い詰めたようにつぶやく。

「「……」」

 2人はそんなヴァラオムに怪訝な表情を浮かべた。

「どういう意味だ?」
[特には無い]

 聞き返したベリルに目も向けず、そしらぬ顔をする。

「長老さまに収穫の手伝い頼まれてるんだろ?」

「うむ、これから向かう処だ」

 ベリルはレインに手で示すと渋々、近寄ってきた。

「なんだよ」
「朝言っていた収穫の手伝いだ」

 レインはげんなりとした。
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