王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 今日はトウキビの収穫。長老は大きなカゴをベリルたちに手渡す。

「……」

 レインは広い畑を睨み付けると、右手を軽く胸の辺りまで挙げた。

 が──

「いてっなんだよ!」

 ベリルが彼の後頭部をべしっと叩いた。

「力を使うな」
「この方が効率いいだろっ」

 声を張り上げるレインに顔を近づける。

「ここまで土を育て上げたのだ、それをまた1からさせるつもりか。次の作物が育つまでどれくらいかかると思っている」

「……っちゃんと制御して使うさ」
「手を使え」

 レインは仕方なく、ぼやきながらトウキビを手で採りカゴに入れていく。

“ザァ……”

 風がレインの髪を揺らした。

「……」

 ふと、空を見上げる。
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