王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 おだやかな日々──こんな日は決して訪れないと思っていた。

 目を細めて天を眺めていたレインの背後に……

「! どわっ!?」

 背中に背負っていたカゴが突然、重さを増した。

「……」

 ベリルが大量にトウキビを入れたのだ。

「長老の処に持っていけ」
「き……きさまぁー!」
「おーい、何を遊んどる」

 駆け回っているベリルとレインの動きと声に、長老は笑いながら発した。

 収穫を終えてレインはがっくりと肩を落とす。腕が上がらない、明日はきっと筋肉痛だ。

[今日の晩飯はトウキビか]

 ベリルが抱えているトウキビを見ながら、ヴァラオムは嬉しそうに口を開いた。

「今日も、誰かと飲みに行くんだろ」

 レインはぎろりとヴァラオムを睨み付けた。

[……]

 私がそんなに邪魔かねレイン……
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