王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
[そうだな、そうしよう]

 ヴァラオムは泣く泣く離れていった。

「?」

 妙な雰囲気に首をかしげたベリルだったが、まあいいか。と家に向かう。

「!」

 夕飯の準備を済ませたベリルに、レインが何かを差し出した。

 それは美しい彫刻の施されたハープ。白銀の弦はランプの炎にその輝きを返す。

 シンプルでいて、川の流れのような形状が言葉に言い表せない優美さをかもしだす。

「ああ……」

 思い出したように受け取る。

「かなり前に貰い受けたものだ。ユニコーンのたてがみで造ったとか」

 何年も前に立ち寄った、職人の街で出会ったハープ職人。

 彼は若く、常にインスピレーションを求めていた。

 そんな時に出会ったのがベリル。森の中でハープの材料になる木を探していたらモンスターと遭遇し、ベリルが助けたという訳だ。

「名前は確か、リンネラだったかな」
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