王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「……!」

 振動でベリルは意識を取り戻す。

 馬車の中だ。両手、両足はロープで縛られている。

 顔を馬車の前に向ける。背中から見てユリエスだ。

「うーむ……」

 ベリルは彼がどうしてこんな事をしたのかを推測し始めた。

「!」

 街から離れて安心したように、荷台に乗せているベリルに振り返る。と、彼はすでに目が冷めているようでユリエスは驚いて馬車を止めた。

 そしてベリルの側にしゃがみ込む。

「……ごめん」
「理由を聞きたい」

 縛られたまま問いかけた。

「俺が討伐に参加したのは、ドラゴンのウロコが欲しかったからなんだ」

「ほう……」

「でも、ウロコ取るの忘れて逃げ回ってたんだけど……」

「何からだ?」
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