王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 聞かれて体が強ばる。

「……」

 自分の腰にある鍵を一瞥し、隠せないなと語り始めた。

「そのさ……俺の先祖は……」
「鍵職人?」

 ベリルの応えに目を丸くした。

「なんで……っ!?」

 ベリルはエメラルドの瞳を細める。

「それはファンタジアのものではない。隣国のかつての技術だ。今ではすたれてしまったと聞く」

「……知ってたんだ。鍵の事」

 ユリエスはあっけにとられた。

「わざわざ言う程の事ではないと思ってな」

 色々な効果を持つ鍵。ベリルを麻痺させた鍵の他にも、数多くの鍵がある。

 壊れても修理出来る者はすでにいなく、先祖の形見でもある鍵をユリエスは少しずつ集めていた。

「折角、ここまで集めたのに……リュシス王が鍵を差し出せって言いやがって」

 眉間にしわを寄せるユリエス。

 鍵を渡す訳にはいかない。代わりにドラゴンのウロコを渡そうと彼は討伐に無理矢理、参加したのだ。
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