王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 ベリルが彼に変わって1歩、前に出た。

「失礼。リュシス王」
「名は?」

 片眉を上げて問いかける。ベリルは名前を名乗り、本題を切り出した。

「彼の持つ鍵。別の物に換えていただけないか」

「どんな物だ?」

 王が聞くと、静かに差し出していた物がその前に据えられる。

「なんだ? このナイフは」

 しかめ面で発すると、側近が応えた。

「アダマンタイトのナイフとドラゴンのウロコでございます」

「何!?」

 リュシス王は身を乗り出した。ナイフを抜いて、まじまじと見つめる。

「……」

 ナイフとウロコ越しにベリルたちを見やると、少しニヤリと口角を上げた。

「まさか、これだけか?」
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