王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 サハネルが大きく振りかぶったその時──

「!」

 ベリルはその懐に入り込み、左手で腰の背後に装備していたダガーを抜き逆手に持ってその首に突きつけた。

「! ま、まいった……」
「素晴らしい!」

 リュシス王が立ち上がり手を叩いた。2人は剣を仕舞い、王に一礼。

「あのサハネルを負かすとは、さすが流浪の民」

 ベリルを見て、腰の剣に目を移す。

「処でその剣……何やら不思議な輝きであったな」

「ドラゴンの炎で鍛えたものです」

 リュシス王の目がさらにキラリと光る。

「どうだ、その剣と交換というのは」
「それは少々、無理な話」

 ベリルの言葉にムッとなる。それに付け加えた。

「これは私にしか扱えないものなので」
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