王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「おばばーお客さんつれてきたよ」

「マルティエーラ! 一体どこに……客?」

 老齢の女性が、入ってきた人物を怪訝な表情で見やる。

 ナーディンの村長であるハローラは、ベリルとヴァラオムにぴくりと反応した。

「随分と小ぎれいな男たちじゃな」
「討伐隊のメンバーだよ」

 と、ベリルを指さす。

「! ほう……」

 ハローラは関心を持ったようで、ベリルをマジマジと見つめた。

 そんな老婆にベリルは笑顔で小さく目で挨拶した。

「初めまして。ベリルと申します」
[私はヴァラオム]
「俺は……」
「なるほど、よく解った」

 俺はスルー!? 確かにマルタの祖母だと、ユリエスは確信した。

「して、何用に?」
「アップルパイ作りに来たの」とエナ。

 聞いたハローラは、足下に置かれた大きな荷物に目を移す。

「……おぬしが?」
「ベリルはお菓子作るの得意なんだ」
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