王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 いやしかし……わざわざお菓子作りにここまで?

 ハローラはいぶかしげにベリルを見つめる。

「エナが手紙送ったもん」
「!? なんじゃと?」

 驚くハローラにベリルはニコリと笑う。

「それはすまん事をしたの……ささ、入ってくれ」

 ハローラは3人を中へ促し、お茶を煎れにキッチンに向かった。

 テーブルに腰掛ける一同。マルタは気が付いたようにベリルを見ると、

「あ、ついでに晩ご飯も頼んでいい? ベリルさん」

「構わんよ」

「! マルティエーラ! なんと失礼な……料理も出来るのか?」

「はい」

 年上に丁寧な物言いをして、ベリルは立ち上がる。

「材料を見せてくれ」
「こっち」

 仲むつまじくキッチンに向かうベリルとマルタ。
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