王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「……」

 こいつは……いいかもしれん。ハローラはしたり顔になる。

「ばば様、変な事は考えない方がいいですよ」

「!? ぬはぁっ! エナいつの間に!?」

 老婆の隣で、エナがぼそりとつぶやいた。

「ベリルはどっちかというとマルタの事、妹とか娘とかいう感覚だと思うわ」

「……そうなのか?」

 ハローラの問いかけに無言で相づちを打つエナ。

 だって……あの人、恋愛感情……薄そうだもの。

 エナがベリルの後ろ姿を見ながら心の中でつぶやいた。

 そもそも、マルタにもベリルに対してそんな気はさらさら無い。

 気さくな仲間、程度の認識だろう。それでも、彼女が仲間と認めたという事は素晴らしい事だ。

 彼女の目は確かだといえる。
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