王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 翌朝、ベリルは朝早く起きて準備を始めた。ついでに朝飯も作る。

 アップルパイにミートパイ、ジンジャークッキーにマフィン。

 材料を多めに持ってきたため、作る種類も多くなった。

「ハッ!?」

 気が付くと後ろにエナ。

「……」

 この嗅覚だけはさすがに勝てない。とベリルは呆れながらも感心する。

「もう少し待て、まずは朝食だ」
「マルタを起こしてくる」

 相変わらずの無表情で、マルタの部屋に向かう。

 良い匂いにハローラも目を冷ました。

「おはようさん」
「おはようございます」

 にこりと笑うベリルは、すでに彼女の中では好青年だ。

 しっかりと年上を敬っている処もなかなか。上品な物腰の背中を見つめる。

「何、朝から色気づいてんのおばば」
「誰がじゃー!」
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