王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「俺が嫌がらせしたら100倍にして返してきやがる」

 7つも年下のベリルに嫌がらせをする辺り、大人げないとも思うのだが。

 この2人にとっては、それが1つのコミュニケーションでもあった。

 徒歩のため、考えながら進もうと考えたライカだったが、それが仇となった。

 集落に近づくにつれ、ベリルとの激闘の日々が脳裏に甦る。

 初めの嫌がらせは、確か背中にカエルを入れた時だ。

 あいつは無表情に背中からカエルを取り出して俺をちらりと見ただけだった。

 そしたらどうだ、朝起きたら俺の枕元に1mのトカゲを置いてやがった。

「あれは卒倒したなぁ……あっはっはっ」

 こっそりやつの家に忍び込んで風呂の水を抜いてやったら次の日、俺の風呂の水がキンキンに冷えた冷水だったり。

 俺はあの時、熱を出してぶっ倒れたんだ。

「まあ、全身浸かってから冷水だって気付いた俺も間抜けだったけど」

 そういえばあいつ……
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