王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「おぬしが今から話す事は、わしにはどうでもよい事じゃろう?」

「長老……」

「わしにとって、ぬしは大事な息子じゃよ。例え、血はつながっていなくとも『ここは』つながっとる」

 右手を胸に当てる。

 全ては、この世に生まれ出た家族じゃ。

「……」

 ベリルは目を閉じて小さく笑う。

「ならば、むしろ聞いてもらいたい。私にあるものが何なのかを」

 強く応え、彼は語り出した。

 自分は錬金術により造り出された生命だと、全ての民の血を用いて造られたのだと……

「……」

 長老は目を丸くして聞いていたが、ベリルの語りが終るとトントンと杖を数回、床に打つ。

「よし、聞いた。わしが呼び出した時は必ず戻ってくるのじゃぞ」

「……」

 ベリルは目を据わらせて老人を見つめた。
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