王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「……」

 無表情で女を見やる。目の前に来た時、女はその整った口を開いた。

「ベリル……ホムンクルスよ。お前は自由にはなれない」

 銀色の腰まである流れる髪、白い肌。人間離れした雰囲気をかもし出している女は、不敵に微笑んだ。

 それに、ベリルは目を細めてしばらく見つめるとニヤリと笑う。

「幻影か? 私が美人に弱いとでも思うのか」

[おお、美人という事は解るのか]

 ベリルの揚げ足を取るヴァラオム。

「どういう意味だ」

 目を据わらせてベリルはつぶやくように言った。

「どこまでも追うぞ。それが嫌ならこのまま進むがいい」

 何の感情も見せずに、ベリルは腰にある剣を抜いて女を斬りつけた。

「待っている……ホムンクルスよ」

 言いながら女の姿はかき消える。
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