王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「!」

 そこにいたのは銀の髪の男性。褐色の肌に金色の瞳。

 ベリルは呆れて目を丸くした。

「ついてくる気か」
[私がいた方が安心だろう]

 優雅に言い放ち、人間に変身したヴァラオムは長い髪を束ねた。

 そして2人は扉を見つめる。大きく重い扉は、ベリルの手でゆっくりと開いていった。

 広いエントランス。並べられた彫像たちが、不気味に訪問者を見つめている。

「!」

 平原で見た女が、2階へと続く階段の上でニヤリと笑う。

 それに眉をひそめ、階段の手すりに手をかけた。

 そうやって女が時折、現れてはベリルたちを誘うようにほほえみかける。

[相手はどんな奴だと思う?]
「ジジィだろ」

 たどり着いた先は大きな部屋。
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