王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 美しい絵画と彫刻が2人を迎える。

 その部屋の奥、豪華な椅子に腰掛けている人物が見えた。

「ようこそ、ホムンクルス」
[む……]
「当たったろ」

 黒いローブを着た、白く長い髪とヒゲの老人にベリルは口の端をつり上げた。

 幻影を造り出す事から、相手はメイジ(魔法使い)だという事は解っていた。

 その様子から、かなりのレベルだ。

「私に何をさせるつもりだ」

 その問いかけに、老人は闇のような瞳でベリルを見据えて低く笑う。

「クク……己の価値も解らぬ愚か者。答えた処でわしに従うつもりも無いだろうに」

 それに、ヴァラオムとベリルは目を合わせて肩をすくめた。

「そんなドラゴンの力など、わしの前ではか弱いものよ」

「言われてるぞ」
[いやまったくその通り]
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