王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 意識を持たない人形のような目をしたベリルは、レジカと共に荒れ地の屋敷に入る。

 黒い鉄格子と門、ゆっくりと開かれた門から屋敷へと続く石畳。

 薄笑いを浮かべて、ベリルを屋敷の中へ促す。

 そしてレジカが手を差し出すと、鞘に収められた剣を渡した。

 レジカはその剣を武器庫である部屋の中に乱暴に投げ入れて、さらに奥に足を進める。

 無骨なシャンデリアと、黒褐色の大きく長いテーブルセット。

「!」

 そこにたどり着いたときベリルの意識が戻った。

「改めて、また会えて嬉しいよ」
「何の用だ」

 警戒するベリル。その腰に剣が無い事に気付く。

「言ったろう? 君を完全体にするんだ」
「……必要無い」

 その言葉に笑みをこぼすレジカ。

「わたしの事も考えてくれ。君がいなくなって、どれほど落胆したか」
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