王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 この事に大した衝撃を受けていないベリルは、彼に話す気はなかったのだがヴァラオムが問いかけてしまったのだ。

 本人が至って平然としている事は驚きである。

 彼にとっては生まれ自体がそもそも特殊なのに今更、驚く事も無いのだろう。

 あっさりと受け入れてしまうこの性格。返って周りが焦ってしまう。

「何か解ったら知らせよう」
[よろしく頼む]
「無理に調べなくても良いぞ」

 しれっと腕と足を組んで言ってのける。

「……」

 ヒュメル6世は半ば呆れた。

「私の事で手を焼く必要は無い」
[面倒がるな]
「!」

 面倒!? 国王は目を丸くした。

 こんな重大な事が面倒だって!? めまいがして頭を抱える。

 そうか……これが彼なのか……何故か納得した。
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