王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 王宮から出てしばらく歩く。すると、

「ベリルさんじゃないですか!」

 ぎくり。この声は……ベリルは声のする方を振り向きたくはなかった。

「お元気でしたか~? いや~久しぶりですねぇ」

「う、うむ……そうだな」
[?]

 苦笑いのベリルに、ヴァラオムは首をかしげた。

「こちらはお友達ですか?」
「うむ……」
[初めまして、ヴァラオムという]

 その恰幅の良い男と握手を交わした。

「どうも、パン屋をしているパスコです」
「テイシンの友人だよ」
[! ほう]

 浮かない顔で応えるベリル。パスコの顔はベリルを見てニコニコと満面の笑顔だ。

[?]

 この2人の温度差に、ヴァラオムは再び首をかしげた。

 その理由を、彼はすぐに知る事になる……
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