王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「それまで、僕に剣を教えてよ」

 言ったサナに、ベリルは小さく溜息を吐き出した。

「言っちゃ悪いが、お前に武器の素質は無い」

「うっ」
「だが、弱い訳ではない」

「意味わかんないよ、それ」
「武器以外にも、あるだろう?」

 意味深に言われても……

「我々の歴史の中で、ウォーロックがいたはずだ」

「! 魔法戦士? そりゃ、いるのは当り前だけど……あ! そうか」

 魔法だ!

「そう、集落には魔法と医術、両方のヒーラーが存在する」

 彼らをさげすんでいる者が、いるかね? ベリルはニコリと笑った。

 全ての命を尊(たっと)び敬意を表する彼らが、相手に下卑た事などするはずがない。

 皆は、サナを温かく見守っていたのだ。いずれ、己が何を成すべきなのか気付く時が来るだろう。と……

「ベリル……ありがとう」
「私は何もしていないよ」
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