王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
「ベリル~どこだ~……」

 静かに階段を上がっていくテイシン。踊り場にさしかかる。

 その時、目の前に白い影──

「うわあっ!?」
「! テイシン?」

 そのままテイシンの上に倒れ込んだベリル。彼を半ば踏みつけている状態だ。

 階段の踊り場までジャンプするつもりだったらしく、テイシンはクッション代わりに下敷きになった。

「いってぇ~なんだよその格好……」
「知らん」

 ドレスの裾を少し持ち上げる。

「キサマ! 我が花嫁から離れろ!」

 怒りに震えた顔で、座り込んだままの2人に言い放つ。

「あいつ誰?」
「ヴァンパイアだ」

 ……は? テイシンはポカンとした。

「ホモのヴァンパイア?」
「うむ」

 冷静に応えるベリル。
< 86 / 170 >

この作品をシェア

pagetop