王国ファンタジア【流浪の民】外伝~震える大地
 迫真の演技でヴァンパイアは信じ切っているが、ここまでやれとは言ってない。

 チョイスミスに反省の色を見せた。

「き……キサマなど俺の力で闇に滅してやる!」

「!」
「えっ!? それは勘弁っ」

 ヴァンパイアがマントをひるがえし大きく両手を広げた。

 瞬間──ベリルの呼び出した剣が彼の隣に空間から現れる。

 それを握って素早く駆け寄り、ヴァンパイアの首元にその切っ先を突きつけた。

「……う」
「そこまでだ」

「なんだよその剣。討伐の時のか?」とテイシン。

 ベリルの持つこの不思議な剣。彼が「ディナス」と呼ぶには訳がある。

 ヴァラオムの炎で鍛え上げられた70cmほどの細身の剣。

 ファンタジアを襲ったドラゴンを倒した剣である。
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