【短編】happy!
よく見たら、その集団のほとんどが女の子で…
頭がひとつ飛び出している男の子が1人、その女の子たちに囲まれていた。
「…あ、っちゃん……、」
見間違えるはずがない。
なにせあっちゃんとはもう10年も幼なじみをやっているんだから。
もう!あっちゃんたら、授業受けないであんなことしてーっ!
…なぁんて。昨日までなら、
家に帰ったら注意しなきゃっ!
と、そんなことばかり考えていたはずなのに、今日は。
あんな風に楽しそうに笑うあっちゃんの笑顔が、
私の頭の中を一瞬にして支配してしまったのです。
…そして、耳に焼き付くように残る女の子の笑い声。
──目が、離せなくなってしまった。
また私の胸を襲う、原因不明の息苦しさ。
それなのに、やっぱり意識は彼のことばかりに集中して。