【短編】happy!
私の呼び声に気づいてくれたのか、ピタッと足を止めてくれた彼。
嬉しくて、走る速度が自然と上がる。
振り返ってくれた彼に、ブンブンと手を振った。
久しぶりにあっちゃんと一緒に帰れるかも~!
なぁんて、さっきまで沈みに沈んでいたブルーな気持ちは、ぐ~んとカラフルに色づいて揺れた。
…のだけれど。
「……………。」
…くるり。
走り寄る私に無言で背を向けて、歩き出していくあっちゃん。
…ん?……え?え?え?
思わず目が点になって、その場で立ち止まってしまう。
空中に虚しくさ迷う右手。
今……私無視された…?
どんどん離れていく彼の背中。
それが、何よりも認めたくない事実だった。