【短編】happy!
「…その名前で呼ぶなって…何回言わせんの…?」
視界ギリギリいっぱいに広がる、静かに怒りに満ちた…彼の顔。
私を囲うように顔のすぐ横につかれた腕に、目線を合わせる為にかがめられた腰。
地を這うような、低くかすれいて小さな…でも確実に恐怖を植え付けさせる、そんな声。
あまりのことに、ビクッと大きく身体が跳ね上がってしまった。
「……ご、ごめんな…さい……。」
か細く、蚊の鳴くような声でそれだけ言うのが…精一杯だった。
あっちゃんの底冷えしてしまうような冷たい瞳に堪えられなくて、情けないことに俯いてしまう。
震えているのがバレないように、お弁当を強く胸の前でギュッと抱えた。