六人に届いた手紙
 しばらくして女将が、「皆様のお部屋の事を説明させて頂きますね」とやって来た。

 どうやら予約した人物が部屋割りも組み合わせも、指定してきた様だった。
 二人一部屋で、優子と幸子が二0五号室、沙也加と朋子が二0六号室、亜紀と恵子が二0七号室の三部屋らしい。
 部屋に案内されると、二階の奥で三部屋は並んでいた。二階に上がる階段は、廊下の端と端に二つあり、一つは降りるとすぐフロントで、一つは降りるとすぐ大浴場に行けるのである。

 皆で温泉でも入ろうと言う事になり、それぞれ部屋に一度入り、荷物を置いてタオルと着替えを持って廊下に集合する事にした。
 すぐに全員が部屋から出てきて、一階の大浴場に向かった。


「そういえば他の泊まり客に会わないよね」


 と亜紀が言った。
 そういえばそうだ、宴会場をたった六人で貸切り、廊下を歩いてもシーンと静まり返っている。


「あっ仲居さんだ! すみませ〜ん。今日ってお客さん少ないんですか?」


 幸子が仲居さんに訊くと、奇妙な答えが返ってきた。


「えっ? 本日のお客様は、あなた方六名様しか居られませんよ」


 すると恵子が笑いながら、


「じゃあ何だか貸切りみたいですね! ラッキ〜」


「それは……貸切りのご希望でご予約を頂いてますので。では失礼します」


 仲居さんは首を傾げて去って行った。そして、恵子は笑顔が凍り付いている。
 わざわざ、貸切りで予約したなんて一体誰が?
 皆それぞれに考えている様だった。朋子はまた震え出していたが、


「とにかく貸切りみたいだから、温泉でも泳げちゃうね〜。ラッキーじゃん。行こう行こ
う」


 沙也加のマイペースな言葉で場の空気が明るくなった。

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