六人に届いた手紙
第四話 プレゼント
 それぞれ部屋に戻った。

 優子と幸子はイスに座り、ため息を吐く。一呼吸置き、幸子が立ち上がり、冷蔵庫を開けビールを二本出し、優子に手渡した。


「ありがとう。ねぇ幸子、さっきのカツラ何だったんだろう?」


「イタズラにしては悪趣味すぎるよね。犯人が従業員じゃないとしたら、私達の中に犯人がいるか、加奈の幽霊の仕業しかないのかなぁ」


「そうだよね。でもさ、私達の中に、あんなイタズラをする犯人なんて居て欲しくないね」


「ホントホント。もし幽霊の加奈が犯人だとしてさ、加奈ってこんな陰険な事するタイプじゃなかったよね?」


 そうだ! 幸子が言う様に加奈はこんな陰険なイタズラはしない。むしろ朋子みたいに好き嫌いがハッキリした性格で、嫌なら嫌と面と向かっていうタイプだった。そういう性格の加奈が、いくら幽霊になったからって変わるだろうか?

 優子と幸子は話しながら、あっという間に冷蔵庫のビールを全部飲んでしまった為、優子はビールを調達しに行く事にした。

 一階のフロントまで階段を降りると、一階の廊下の奥の曲がり角を走り去って行く人影が見えた。

 確かあっちには大浴場と階段があったはず。従業員の格好じゃなかったし、泊まり客は私達しかいないのだから、私達のうちの誰かなのかな?
 そう思った優子は、一階の廊下の人影が消えた方向に歩き、角を曲がると大浴場から恵子が出てきた。


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