六人に届いた手紙
 優子は沙也加に、

「パニックになるから、とりあえず今は手紙の内容を、誰にも言わないで」

 と話し、亜紀と恵子には、朋子が死ぬと書き残し、居なくなった事だけを伝えた。

 そして、手分けして旅館の周辺を探すと、旅館より少し山を登った所で、手首を切り、倒れている朋子を見つけた。脈を確かめると、まだ脈はあったので優子は応急処置をし、旅館の人に手伝ってもらい、ひとまず旅館の部屋に運んだ。

 救急車はバス停の所までしか入れないので、旅館から救急車までは、旅館のおじさんが朋子をおぶってくれた。

 島にある唯一の県立病院に着き、朋子は一命を取りとめた。

 そして優子は、朋子以外の全員を病院の屋上に集めた。

 病院の屋上からの眺めは、太陽が、どこまでも広がる海に反射してキラキラしている。

 こうして皆で綺麗な景色を見ていると、あの頃、加奈も含めた七人で、同じ景色を見てた頃と重なる。

 深呼吸をし、優子はゆっくり話し始めた。

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