六人に届いた手紙
 沙也加がポストを見て手紙を見るまで、相当時間がかかるだろうと思った優子は、朋子の携帯に電話をかけた。朋子は自宅に電話を置いていないのだ。

 朋子は昔から自己主張が強く、好き嫌いが激しかった。でも仲間うちでは、よく笑い盛り上げ役で明るい性格だ。優子達の中では一番背が高く派手で、高校の終わりくらいから水商売をしていて、今は彼氏と暮らしている。


「もしもし朋子? 手紙の事なんだけどさ」


 と優子が話し終わらないうちに、朋子は一気に話し出した。


「優子、これ誰が書いたの? 加奈の幽霊じゃないよね? 優子じゃないよね? だって優子は一番優しいし素直な性格だから、こんな陰険な事しないもん。切符まで入ってたし、加奈の家族が送ってきたのかな?」


 朋子はパニックになっていた。二十歳の時に亡くなった加奈の名前で、しかも切符まで同封されていれば誰でも気味悪く思うだろう。


「落ち着いて朋子、私も分からないからみんなに電話してるの。誰かがみんなに会いたくてサプライズで手紙を送ったかもしれないでしょ? それに加奈の家族は、弟が居たけど何年か前に事故で亡くなったはずだから、加奈の家族が送る事は出来ないよ」


「そう。ごめんね優子。何だか気味が悪くて」


「ううん。誰だって亡くなった人の名前で手紙が来れば気分いいものではないよ。じゃ私は亜紀に電話してみるね。またね、朋子」


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