六人に届いた手紙
 電話を切った優子は、次に恵子の携帯に電話をかけた。

 恵子も、朋子と亜紀と同じで自宅に電話は置いていないのだ。

 恵子は六人の中で一番おとなしく、口数が少ない。かと言って性格が暗いわけでもなく、協調性もあり努力家である。今は唯一地元に残り工場の事務をしている。


「もしもし、あっ優子? 電話しようと思ってたんだ。この手紙優子?」


「違うよ〜。誰か分からなくて今みんなにかけてたんだ」


 どうやら恵子は、集合場所が優子の住む島なので、優子がみんなを招待したと思ったらしい。

 恵子と電話を切ると、沙也加から電話がかかってきた。
 どうやら皆より遅れて驚いたようである。

 結局五人の中に、手紙の差出人は居なかった。

 じゃあ一体誰なんだろう?

 優子は首を傾げつつ、もう一度幸子に電話をし、皆と話した事を伝えた。


「とりあえず私は行くよ〜。優子に会いたいし、関西からなら飛行機でみんなより近いしね」


「私も幸子に会えるの嬉しいけど、陽一さんと、ちぃちゃんは大丈夫?」


「陽一の叔母さんが近くに住んでるじゃない? だからたまに千夏を預けたりしてるから、大丈夫だと思うけど、訊いてみる」


 そして腑に落ちないまま、みんな久しぶりに会えるという嬉しさからか、それぞれ都合をつけ、幸子、沙也加、朋子、亜紀、恵子、私の六人が、加奈の命日でもある八月五日、集まる事になった。


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