雪灯りに響く音
その音、始まる。
「お前、彼氏いないだろ?」
突然背後から聞こえて来たそんな失礼極まりない言葉に、私は吹いていたフルートを危うく落としそうになった。
理解するのにも多少の時間を要した。…え、今何が起きましたのコト?
…空耳、とか? あはは、じゃあ仕方ないねー。うんうん、そうよね、まさかいきなりそんなケンカ吹っかけてくるヤツが何処にいるっていうのよ、
「オイ聞いてんのかよ、そこのヘタクソ女。」
「っ誰がヘタクソよ!?」
再度吹っかけられたケンカにはさすがの私も反応せずにはいられず、勢いよく後ろを振り返る。
そこには、ついさっきから見学という名目で来ていた、顔も知らない男子が一人。
その踏ん反り返った表情と態度、そして私へと視線が向けられている事から、先程ねムカつく言葉達はヤツから吐き出された物だという事は容易に想像がつく。
ちょ、何コイツ何コイツーーーー!!? 初対面で普通そゆこと言うの!? てか、見学って事はコイツは未経験者なんでしょ!?
ヘタクソとか言われたくない!
「何よいきなり! 失礼にも程があるわ!! というか、彼氏云々とフルートに何の関係があるっていうのよ!!」
「あるに決まってんだろ。
音は本人そのものだって良く言うだろ、そんな事も知らねぇのかお前。」
…なんなのこのムカつく態度は!!?
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