雪灯りに響く音
私の横で唖然と口を開け放している先生の方に、床に穴でも開くんじゃないかっていうくらいドスドスと音を立てながら向き直り、失礼男にビシッと指差す。
「藤原先生、コイツ誰よ!?」
いきなり話を振られた先生は相変わらずあんぐりと口を開けていたけれど、ようやく思考回路が修復されたらしくあ、あぁ…と大いに動揺した声を発した。
「来週からうちの教室に通って貰う予定の子だよ。 確か名前は…」
「相川 佑(アイカワ ユウ)です。」
「そうそう! 佑くんだったね。」
「早々に名前を覚えて頂けて光栄です、藤原先生。」
ちょっと、私に対する態度と180゚違うでしょ!?
何そのキラキラしい爽やか笑顔は! 今まで単に踏ん反り返ってただけなのにー!!
ムッと…えと、佑だったかな?と睨み付けると、ヤツはまたふてぶてしい表情に戻りなすった。ホントにムカつくわねコイツ…!
「いや、そんなに畏まらなくて良いんだよ? ご立派な人間って訳でもないんだし…。」
「いえ、フルートコンテスト優勝者に尊敬するな、という方が無理ですよ。キャリアの差も相当あるでしょうし。」
そしてまたヤツは爽やかに戻る。一体何がしたいのよ!?
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