雪灯りに響く音



「い、たい、痛いってば、離してよ…っ」

ぐいぐいと引っ張られる腕がそろそろ限界を訴え始め、痛みに顔を歪めていると、ようやく佑は離してくれる。
…もう、なんなのッ

「何か用? こんな無理矢理引っ張らなくっても良いじゃない!」

「何、って。お前今日教室あるだろ。」

…は?

「ある、けど。」

「俺も今日あるからついでにって思ったから。それだけ。」

「…なんで、わざわざそんな…。」

目を丸くすると、佑は私を軽く一瞥して、すぐに目線を逸らした。

「ずっと、お前だけを追ってきたから。美麗に勝つ事だけを考えて。」

だから、その反動ってヤツ。そう言ったきり、佑は口を開く事は無くなった。
その表情はあまり読み取れなかったけど、少し嬉しそうにも見えて。
…あれ、前の態度とまるきり違うじゃないの。何そのちょっと優しい感じの雰囲気。
調子、狂うじゃない。
あまりにも佑の態度が前と違い過ぎて。
気付けば私は、佑に対しての怒りとかが抜けていた。
…良く分からないわ。


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