溺愛ラバーズ
それから俺は冴子と話し込んでしまい、まりあの存在を忘れてしまっていた。





どのくらい話してたかなんて時間はわからないが、俺の隣にいたまりあはいなくなっていた。





「公衆の面前で浮気なんて最低ね。」





怒気の含んだ声が聞こえ、顔を横に向けると仁王立ちした妹がいた。





「誰この子?知り合い?」


「まりあの妹だ。」





妹は俺と冴子を交互に睨み付ける。





「さっきはお姉様がああ言ったからしょうがなかったけど、今は邪魔していいのよね?」





本当に…どこまでも邪魔をするのが好きなんだな。





「で?この人誰よ?お姉様より大事なわけ?」


「君には関係のない事だ。」


「関係ならあるわ。私のお姉様の婚約者が浮気してるなんて大問題よ。」


「これのどこが浮気に見える?君の目は節穴か?」


「弁解なんて見苦しい。あんたねぇ、ちょっとはお姉様の事考えなさいよ。お仕事の邪魔になるからって会場を出て行ったのよ?どうせ気づいてないんでしょ?」





また1人で行ってしまったのか…。




< 102 / 213 >

この作品をシェア

pagetop