溺愛ラバーズ
ふぅーとため息を吐き出し、冴子に視線を向ける。





「悪いな、また会社で。」


「ええ、樹も大変ね。」





冴子と別れ、まりあを探さなければいけないが…





「まりあはどこにいる?」


「知らない。」





知らない?つかえない妹だな。





「会場を出て行ったのは確かよ。後は自分で見つけなさいよ。」


「お姉様お姉様言ってる割には案外つかえないんだな。」


「あんたよりマシよ。大人のくせに気が利かないのね。それに、自分の婚約者を探す事も出来ないの?」





本当に…苛々する奴。





ここで言い合いしてる時間が無駄だな。





妹をほっとき、会場を出てまりあを探す事にした。





展望台にもロビーにも喫茶店にもいない。





ボーイに聞いてもわからないと言う。





後は噴水のある中庭だけ。





ロビーを抜け中庭に向かう。





噴水がライトアップされていて、幻想的な中庭。





芝生の上をゆっくり歩いて行くと噴水の近くにベンチがあり、まりあはそこに座っていた。




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