溺愛ラバーズ
俯いてるまりあは俺の存在に気づいてない様子。





｢まりあ…。｣





声をかけると体を強張らせ、勢いよく顔を上げた。





｢樹さん…。｣





そう言ってまた俯いてしまった。




｢なんで泣いてる。｣





顔を上げたまりあの顔は涙で濡れていた。





ライトアップされてるおかげで、一瞬だったが泣いてるのがわかった。





｢泣いてませんよ…。｣





声が震えてる…嘘つく必要なんかないのに。





｢じゃあ、会場を出て行ったのは何故だ?｣


｢外の空気が吸いたくて…。｣


｢なら何故俺に言わない。｣


｢邪魔しちゃ悪いですし…｣


｢たった一言言えばいいだけの話だろ。｣


｢ごめんなさい…。｣





まだ顔を上げないまりあ。





｢いい加減、俺を見ろ。｣





強引だが、頭を挟み無理矢理顔を上げさせた。





｢もう一度言う…何故泣いてる?｣




顔を上げたはいいが、今度は視線を逸らされてしまった。





下唇をきつく噛み口を開こうとしない。




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