溺愛ラバーズ
呼んでも返事はなくて、相変わらずキスする音が聞こえる。





背中にある樹さんの手が下に移動し、体を這って行く。





初めての感覚で擽ったくて声が出そうになる。





「やっ!……樹さっ、んぁっ…。」




手が洋服の中に入って来て、体のラインを沿って行く。





自分の物とは思いがたい声が出てしまって、赤面するほど恥ずかしい。





樹さんの行動がエスカレートして行くのがわかるのに、止められない。





フッと体の締め付けがなくなり、微かに目を開けると体を起こした樹さんがYシャツに手をかけていた。





射し込んでいる光で樹さんの体がよく見える。





厚い胸板、広い肩幅、浮き出る鎖骨、筋肉の付いた腕、割れた腹筋。





目を奪われ、視線を逸らす事が出来ない。





徐々に近付いてくる顔。





手を握られただけでドキンとする。





真剣な表情で熱い視線で見つめられ、声が出せない。





目の前に樹さんの顔があって、唇が温かい。





キス……してる。




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