溺愛ラバーズ
｢海外にも日本中にも有能な社員は沢山いるわ。今回はたまたま樹が選ばれた、上手く行けば結婚だけどダメだったらまた別の社員が婚約者。｣


｢…………。｣


｢まりあちゃんも心配だけど私は樹の方が心配なの。｣


｢俺が?｣


｢そうよ。元カノとして同期として心配よ。このまま気持ちの整理も出来ずに結婚ってなったら必ず後悔するわ。結婚後に好きな人が出来たらどうするの?離婚出来る?｣


｢………。｣


｢社長が婚約を決めてそのまま従えば、樹とまりあちゃんは愛し合って結婚したと勘違いするんじゃない?なのに、離婚となれば樹は責められ会社をリストラされかねないんじゃないの?｣





結婚というものを甘くみていた。




いくら俺が仕事優先でも、好きな女ぐらい出来る。





｢結婚を甘くみちゃダメよ。愛のない結婚は必ずダメになるのよ。早く気持ちを整理しないと婚約解消も出来なくなるわ。｣





冴子の話は妙に説得力があり、聞き入ってしまった。





そのおかげでペースも早まった。




いくら酒に強くても2時間近く飲んだのは失敗だった。




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