溺愛ラバーズ
LOVE.10 -婚約解消-
「いってらっしゃい。」


「ああ。」





あれから2ヶ月が過ぎた。





あの夜の記憶は大半が薄れてきていた。





いつも通りに見送られ、家を出る。





会社に着くなりPCを立ち上げ、書類に目を通す。





ミスした部下を怒鳴り、またPCと書類を睨みつける。





そんな毎日の繰り返しだと思っていた。





「課長、内線1番からお電話です。」





受話器を上げ、1のボタンを押す。





「お電話変わりました。高杉です。」


『仕事中にすまないねぇ。今すぐ社長室に来てくれないか?』


「……わかりました。」





社長が俺を呼ぶ時は必ずまりあの事だ。





「ちょっと抜ける。」





席を立ち、いそいでエレベーターに向かう。





色んな事があり過ぎて、話の検討もつかない。





秘書課を通り抜け、社長室の扉をノックする。





「高杉です。」


「入って来てくれ。」


「失礼します。」





扉を開け、社長のいる大きなデスクまで足を進める。




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