溺愛ラバーズ
ダウンのポケットから携帯を出し、時間を見ると21時を回っていた。





「きゃっ…。」





小さい悲鳴が聞こえ、視線をあげると数メートル先にいる女性が尻餅をついていた。





そのすぐ横を歩くだらしない男2人組。





すいませーん。と呑気に言っている。





助けろよと思いながら、転けた女性の元に行く。





「大丈夫ですか?」





そう言って少し屈み手を差し出す。





「はい、大丈夫です。すいませ……!」


「………!」





そう言いながら顔を上げた女性。





「…まりあ。」





会いたいと願っていたまりあだった。





泣き出してしまいそうなまりあと同じ目線になるように屈む。





「いつ、きさん…。」





会いたかった。





抱き締めたかった。





やっと――――――…見つけた。




「ここは寒いからホテルに行こう。体にも悪い。」





コクンと頷いたまりあを立たせる。





やっと見つけたまりあは以前のまりあと違っていた。





誰が見てもわかるほどお腹が膨らんでいた。




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