溺愛ラバーズ
まりあは妊娠していた。





お互い口も開かずにホテルに向かい、ロビーで温かいココアを買って部屋に向かう。





「入って。」





先ほどから俯いてるまりあを促しソファーに座らせ、ココアを渡す。





俺も隣に座り、コンビニで買ったコーヒーを一口飲む。





見つけた…やっと見つけた……けど、なんと言えばいい?





なにから話せばいい?





そう悩んでる間に、啜り泣く声が聞こえた。





「ごめん、なさい……。」





まりあが謝る事じゃないのにどうして謝るんだ…。





「体、大丈夫か?」


「……はい。」


「妊娠してるんだよな?何ヵ月?」


「8、ヵ月です。」





大切な人との子供を妊娠したのか……俺の入る隙なんてないじゃないか。





奪う事も出来ない。





「出張ですか?」


「ああ。」


「そうですか……。」





さっきから一度も視線も合わさなければ、顔も上げないまりあ。





会話も途切れ言いたい事も言えないし、どう話せばいいのか戸惑ってしまう。




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