溺愛ラバーズ
代理を送るって……職権乱用じゃないか。





「樹さん?」


「今回の出張は1週間だったんだ。けど社長が明後日帰って来いだって。」


「大丈夫なの?」


「代理を寄越すみたいだ。」


「そう。あっ!どうしよう…。」





いきなり声を上げたと思ったら泣きそうな顔を見せるまりあ。





「どうしたんだ?」


「赤ちゃんの事話してない…。」





俺もすっかり忘れてた。





「もう一度電話するか?」


「ううん、ビックリさせちゃおう?」





まりあがそう言うなら別に構わないんだが……また妹が気絶するんじゃないのか?





「樹さん、朝飯食べましょ?」


「そうだな。」





洋食のルームサービスを頼み、会話しながらの朝食を楽しんだ。





それから俺はスーツに着替え、仕事に行く準備をする。





「もう行くの?」


「どうかしたか?」


「ううん……寂しいだけ。」





俯くまりあの頭を撫でる。





「早く帰って来るから、まりあは寝とけ。」


「うん。」





小さく返事をしたまりあはトボトボとベッドに向かう。




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