溺愛ラバーズ
まりあの頭を撫で寝室を出る。





可愛いと思うのも、苛めたいと思うのも、愛しいと思うのもまりあだけ。





今まで付き合ってきた女にこんな感情を抱いた事なんてない。





はぁ〜…おかしくなりそうだ。





「樹さん、準備出来ました。」


「ああ、行くか。」





手を取り、まりあに合わせて歩き出す。





ホテルを出て、タクシーを拾い行き先を告げる。





まりあがお世話になっているアルバイト先は割と近く、数十分で着いた。





タクシーを下りて、店の前に立つ。





こじんまりとしたモダンな喫茶店。





ドアを開けるとカランカランと呼び鈴が鳴る。





「いらっしゃ………まりあちゃん!」





カウンターにいる50代ぐらいの女性が声を上げる。





「帰って来てよかったよ〜。今までどこに………知り合いかい?」





駆け寄って来た女性は、繋がれた手と俺達を交互に見る。





「初めまして、高杉と言います。妻がご迷惑をおかけしました。」

「公江さん、本当にごめんなさい。」


「妻!?じゃあまりあちゃんの旦那さん!?」




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