溺愛ラバーズ
「高杉くん、本当にありがとう。」




向かい合ってソファーに座った社長が深々と頭を下げる。





「いえ、私も混乱を招くような事をしてしまいすいませんでした。」


「いやいや、最初に言い出したのは私なんだから謝らないでくれ。」


「パパッ!そんな事よりお姉様よっ。ちょっとアンタ!何手ぇ繋いでるのよっ。離しなさいよ!それになんでお腹が膨らんでるのよっ。ちゃんと説明しなさい!」





いきなり立ち上がった妹にみんなの視線は集中する。





「ひなの、落ち着きなさい。」


「そうよ、ひなちゃん。とりあえず座りましょ?ママね、クッキー作ったのよ〜。」





夫人の言葉に妹の顔は般若化としていく。





「いらないわよっ!なんでそんなに呑気なわけ!?」


「そう……ママの作ったクッキーいらないのね………あなた、私なにかしちゃったのかしら…ひなちゃんがこんなに怒るなんて…。」




涙を浮かべ、社長に体を預ける夫人。





まりあは母親似なんだな…。





声だって似てるし、雰囲気も顔もなにより泣きそうな表情がそっくりだ。




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