溺愛ラバーズ
このどうしようもできない空気を破ったのはお義母さんだった。





「まりあ、見て見てぇ!この前ね、映画のチケットもらったの。折角樹くん休みなんだし、2人で行ってきたら?」


「でも……。」


「誠くんは私が見てるから心配しないで?」


「大丈夫?」


「大丈夫よ。娘を4人も育ててるのよ〜。任せなさい!」





返事に困ってるまりあが俺をチラリと見る。





「お言葉に甘えようか。」


「いいの?」


「行きたくない?」


「ううん、行きたい。」





頬を赤らめたまりあがニッコリと笑う。





「お義母さん、誠をお願いしてもいいですか?」


「まかせてぇ〜!」





ガッツポーズをしたお義母さん。




朝飯を食べ終わった俺とまりあは部屋に戻り、支度をする。





「樹さぁん、これはどう?」


「似合うよ。」


「これは?」


「似合うよ。」


「じゃあ…これは?」


「似合うよ。」





なかなか服が決まらないのか、服を体に当て聞いてくる。





「どれでもいいって事なの?」





肩を落とし、目を潤ませるまりあ。




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