溺愛ラバーズ
そう言われ、小さなバックを差し出された。





「弁当?」


「はい。いつもお昼は食堂の定食でしょ?飽きると思って作ったんです。食べて下さい。」


「……ああ、ありがとう。」





行ってらっしゃいと言うまりあを背に家を出た。





昨日、絶対泣いたと思ったのに……。





俺より先に起きて、朝飯と弁当を準備して…。





しかも、普通の態度だったな。





しかし、弁当はありがたい。





食堂に行って、何を食べるのか悩まなくていいし、態々買わなくていいし。





本当にやっていけるのか?昨日の事思い出すと到底無理だ。





結婚する前に我慢の限界が過ぎてしまう。





「おはよう。」





横から声をかけられ、顔を動かすと新名部長がいた。




「おはようございます。」

「朝から難しい顔してどうしたんだ?」


「いや、なんでも…。」


「同棲初日になんかあった?」





あったどころじゃない……あり過ぎるんだ。





「話しが合わないんですよ…。」


「ははっ、まりあちゃんはまだマシじゃないかな?」




あれがマシ?話しただけで疲れるのに…。
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